地域で子育てをする時代へ

本来、人類は子育ては社会でする生き物なので、

現代日本のように、核家族家庭で子育てをする前提というのは

根本的に無理なことをしてます。

 

人類は、両手を有効に活用するため=ものを運んだり、道具を使うため、

4足歩行から2足歩行に「進化」しました。

ただし、それにはデメリットもあって、その最大のものは

「産道が狭くなり、赤ちゃんが未成熟なまま出産され、

自立するまでに時間がかかる」

ということです。

 

つまり人類は、そもそも育児がものすごく大変な種族だということです。

なので、古来から赤ちゃんを育てるのは共同体でみんなで面倒を見る、

というやり方を取っていたのですね。

子どもは労働力でもありますし、昔は子どもの死亡率も高かったですから、

とにかく女性は子どもを多く産む、ということが大きな仕事だったと思います。

当然、それをするためには、産んだ子どもを自分で育てながらだと

難しいので、育てるのは役割分担して周りの誰かにお願いするわけです。

赤ちゃんから労働ができるくらい育ってくれば、

村の中で役割が与えられて、周りの大人から指導をうける、

ということになっていきました。

 

農民人口は、江戸時代が9割、戦前1940年で5割となっていて、

そこくらいまではこの共同体で育児するというのが機能していたと思います。

戦後、人口爆発・農業の生産性向上・輸入の拡大などで、

核家族が進みましたが、ここでは女性は結婚すれば専業主婦になる、

というモデルが創造されましたが、これを支えたのは

高度経済成長で、所得がどんどん上がり将来も豊かになれるという心理的安定と、

年金など将来に負担を先送りした福利厚生・扶養控除制度をつくり、

政府がその専業主婦モデルでも一生経済的に問題ないですよ、と保証したことに由来します。

 

そこから、バブルが崩壊して経済の低迷、

高齢化社会の中で厚生年金支給の増大、

少子化でその負担増を支える生産人口が減る、

という3重苦が発生して、

女性にももっと働いてもらわなければならない、

一億総活躍時代だ、ということになったわけです。

 

今の日本の制度は、女性が働くことを促しながら、

一方で、子どもを産んで家庭で育てなさい、

とむちゃくちゃなことを言っている、ということが根本的にあります。

先日、自民党の大物議員が「少子化最大の要因は女性の晩婚化」と発言して

大ブーイングを受けました。

これは、基本的に彼らの一番ベーシックな考えが、女性は子どもを産んで育てるのが役目、

という昭和の価値観を保守・継承していくのがあるべきだ、と思っているからです。

イデオロギーなのです。

 

このことは、2023年4月にこども家庭庁が設置されますが、

元は「こども庁」という名前だったのが、

無理やり「こども家庭庁」にしたということに端的に現れてます。

自民党のベテラン議員は「子どもは家庭でお母さんが育てるもの。

『家庭』の2文字が入るのは当然だ」

「最近は学校に行かない権利を唱える子どももいるようだが、

権利ばかり唱えても(よくない)。

青少年が健全に育つには家庭がしっかりしている必要がある」

というような発言があったということです。

 

ほんとうに残念ながら、自民党の中で20年くらい若返りをしないと

政治の意識改革は進まないと思います。

もしくは、政権交代が起こって、自民党以外の政党が与党になるかですが、

それは現時点で可能性が低そうです。

 

 

今の政府・法律・公的なものの考えというのが、

戦後の高度経済成長という非常に特殊な環境下で、

奇跡的にうまく働いたやり方を前提にしていると考えております。

 

2足歩行を選んだ人類として、子育ては共同体で行うもの、

ということが歴史的に長い間やってきた、本来の方法だと思います。

決して家庭、ではない。

家庭での育児というのは、高度経済成長時の特殊な状況の中でのみ

成立し得た特殊解です。

ずっと家庭ではなく村で役割分担をして育児をしていたのです。

 

いろいろな前提が崩れる中で、失われた30年と言われる中で、

改革は小出し後出しでいろいろと進んでいるのは確かですが、

そのペースはめちゃくちゃ遅いと言わざるを得ません。

 

現在、無理を強いられている子育て世代の身としては、

十分それを意識して自己防衛をしていく必要があると思います。

今、本当に支援が必要なのは母子家庭・父子家庭の家庭だと思います。

ここへの保証は本当に厚くして頂きたいと切に思いますし、

早く地域で子育てする時代にしていかなければならないと思ってます。

PTAとかも、社会を支えている現役世代がやることでなく、

支えられている高齢者のボランティアでやっていただくのが、あるべきですよね。

 

以上、今回は家庭での育児は人類のやり方ではなく、

地域でやるのが本来の姿だという話をしました。

今回もお読み頂きありがとうございました。